遺言書についてよくある疑問
(Q)大した財産なんてないけど、遺言書を書く必要はありますか?
あなたの死後、あなたの財産のことで、親族が不和になることを防ぐためにも、遺言書であなたが「この預金を●●に相続させる」など、遺産分割の指定をしておく意義は大きいといえます。
また、あなたが今までお世話になって、財産を遺してあげたいと思っている人でも、法律上、相続人になれない人(内縁の妻、同居している長男の嫁)に財産を遺してあげるには、遺言書にその旨を記載するしかありません。
(Q)自筆の遺言と公正証書遺言は何が違うのですか?
自筆証書遺言は言葉の通り、自分で作成する遺言です。
遺言の中でも一番簡単に作成することができますが、個人でつくるため不備があることが多く、遺言の効力について争いが生じやすいという欠点があります。
公正証書遺言は公証人が筆記して作成する遺言です。
手数料がかかりますが、公証人が作成するので様式や内容の不備がなく、また、改ざんや偽造の恐れがないので安心です。「検認手続き」も不要なので、相続開始後はスムーズに財産の名義変更ができます。
(Q)私たち夫婦には、子供がいません。この先、私たちが歳をとって私が先に死んだとき、私の相続財産は妻以外に私の兄弟にも相続されると聞きました。私の財産は私と妻と二人で築き上げたものであり、私の亡き後、妻を不安にさせたくありません。妻にだけ財産を遺す方法はありますか?私の両親はすでに他界しております。
被相続人に子供も両親もいない場合で被相続人に兄弟がいる場合、相続人は妻3/4,兄弟1/4となり、被相続人の兄弟も相続人になります。妻に全額相続させたいのであれば、「全財産を妻に相続させる」という内容の遺言書を作成することをお勧めします。
(Q)以前から私が死んだら財産をあげると言われていましたが、これは遺言になるのでしょうか?そのことを示す書類もありません。
遺言ではなく贈与の意志を示したことになり、「死因贈与」になります。
死因贈与には2つの要件が必要で、①その内容を聞いた人、つまり証人がいるかどうか。②相続人全員の承諾が得られるかどうかです
(Q)遺言には、財産を長男に全部渡すとありました。次男の私に一切の相続はないのでしょうか?
分け方が不平等だから無効にはなりません。遺言書で書かれた分割割合と法定相続分のどちらが優先されるかは、指定相続分です。
ただし、「遺留分に反しない限り」という条件がつきます。遺留分とは、被相続人が相続人のために残す必要のある財産の割合のことを言います。具体的な割合は、相続人が2人兄弟の場合、法定相続分の2分の1です。つまり、仮に遺言で「長男に全部」
とかいてあったとしても、次男は4分の1を長男に請求することができます。
(Q)遺言書はいつ書くべき?
「遺言書は死期が迫ってから書く」というイメージを持っている方が多いですが、遺言書が必要な人は今すぐにでも作成してください。事故や天災で突然不幸がやってくることも考えられるし、残念ながら歳を重ねるにつれて判断能力も衰えていきます。
遺言書が必要な人は、元気な「今」が遺言書を作成する絶好のタイミングです。